遺伝的な要素が無いわけではありませんが、単一の遺伝子によって遺伝する病気ではありません。
遺伝因子以外に様々な環境因子が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝する可能性は極めて少なく、心配する必要はありません。
そのようなことはありません。どのような方でも体力が低下していると、風邪をひきやすくなります。
しかし、患者さんの中にはステロイドや免疫抑制剤を服用している方がおられます。
これらの薬剤は免疫反応を低下させることにより、病状を抑える反面、感染しやすくなることもあり、注意が必要です。
発熱などが長く続く場合は主治医に相談して下さい。日常のうがいや手洗いなどの予防対策も忘れずに。
病状に変化がなくてもある程度定期的な内視鏡検査が必要です。内視鏡検査は病変の拡がりや炎症の程度を的確に把握でき、適切な治療内容を決定することができます。
例えば、緩解期でも、治療内容の変更やお薬を中止する時などは、採血データに比べて肉眼的に病変の状態を観察できる内視鏡検査は、重要な判断材料といえるでしょう。
また、全大腸炎型や左側大腸炎型で発症から7年以上経過している患者さんは、癌化の危険性も考えられ、少なくとも1~2年に1回の検査が必要となります。
いくつかの漢方製剤が有効であったとする報告はあります。
しかし、単独投与の効果や基本的な治療薬と比較した報告はないようです。
合併症など患者さん個々の状態によっても異なりますが、現段階では補助的な治療薬と考えられるでしょう。
通常、緩解期になってからも2~3年は維持療法として、メサラジンやサラゾスルファピリジンを続けるのが原則です。
しかし、患者さんの中には5年以上も症状がなく、緩解が続いていたにもかかわらず、再燃した方もおられ、はっきりとした目安がないのも事実です。
これらのお薬は長期に服用することの安全性については、確認されていますので、自己判断でお薬を中止するのではなく、必ず主治医の先生と相談して下さい。
すべての先生方は、患者さんが緩解の状態で、お薬も服用せず妊娠や出産をむかえることを望んでいます。
しかし、妊娠中にお薬を無断で中止することにより、症状が増悪し、胎児に悪影響を及ぼすという報告もあります。
緩解期に妊娠した場合には、ほぼ正常出産で流産や先天奇形の発症率は健康な人と変わらないとされていますが、妊娠を希望されるときは、必ず事前に主治医に相談して下さい。
また海外ではメサラジン、サラゾスルファピリジン、プレドニゾロンの投与も、妊娠や出産などに特に問題はないとされていますが、治療方針については必ず主治医と相談して下さい。
睡眠不足や過労に気をつけて、リズムのある規則正しい生活が重要です。
食事制限は特にありませんが、消化のよいものをバランスよく摂るように心がけて下さい。
運動に関しては病気の状態が落ち着いていれば、疲れを残さないようにして下さい。
ステロイドを大量に服用している場合や症状の増悪時には運動を控えめにして下さい。
コーヒーなどに含まれているカフェインそのものが潰瘍性大腸炎に影響するわけではありません。
つまりこれらの飲み物で敏感になっている大腸を過度に刺激しなければよいわけです。
そのためには腸管の炎症が強い時期でなければ、節度ある飲用で問題ありません。
基本的には問題ありませんが、解熱剤の服用で症状が悪化したり、抗生剤で下痢をすることがありますので、症状がよくならず調子が悪くなった時には薬を中止して早めに主治医に相談して下さい。
潰瘍性大腸炎では喫煙者に症状が少ないとの疫学調査結果や、活動期の治療にニコチンが有効であったとの試験結果が報告されています。
一方、クローン病での喫煙は憎悪の要因とされていますので、タバコは控えた方が良いでしょう。
どのくらいならば大丈夫というデータはありません。
個人差が大きく、一概には言えませんが、原則的にはアルコールは腸管の粘膜に障害性を示し、病状が悪化する可能性があります。
また、実際には飲み始めれば一杯のつもりが多くなってしまうことがあり得ると思われます。
従って、現時点ではアルコールは控えたほうがよいでしょうと言わざるを得ません。
潰瘍性大腸炎の原因は解明されていませんが、腸内細菌の変化も要因の一つではないかと考えられています。
海外で健康な人の糞便細菌を管や内視鏡を用いて移植したところ効果があったという報告があり、日本のいくつかの施設でも臨床試験による研究が始まりました。
しかし、明らかに糞便細菌移植の効果が得られたという報告はなく、まだ研究段階であり、確立した治療として認められておらず、現状ではおすすめはできません。
常勤で働いている患者さんもたくさんいらっしゃいます。職場に病名を知らせるかどうかは、それぞれの方にお任せしていますが、まず寛解をめざします。病名を伝えた場合、寛解が維持されていても、定期的に通院していることを伝え、休暇を取りやすいようにすることをお勧めします。
潰瘍性大腸炎の場合、5ASA性アレルギーの方は寛解維持にはアザチオプリンや6MPなどのチオプリン剤を継続して使用することや、2018年度発売される二種の新薬などを使用することが考えられます。
レクタブル注腸は副作用は少ないですが、ステロイドのため長期使用は避けた方が良いでしょう。
リアルダは通常1~2週間くらいで効果が出てくると思われます。
2週間経って効果がないのであれば、レミケード治療の変更を考慮された方が良いでしょう。
記載した薬価は10割負担の場合です。
実際には保険が適応され、またほとんどの患者さんでは難病の申請をしていただくことで公費による助成が受けられますので、実際の支払額は少なくなります。
難病医療費助成対象となる方は、次のいずれかが条件となっています。
②について、詳しく説明します。
こちらは、”軽症かつ高額”と言われています。症状は比較的落ち着いている。
しかし、高額な治療費が継続して発生しているという方が対象になります。
該当する方は次のとおりです。
治療費が10割計算で33.330円以上かかった月が直近12ヶ月以内に3回以上発生している。
既に医療費助成を受けている方は、自己負担上限額管理票で確認できます。
難病医療費助成更新について.pdf