専門医育成コース

目的と特徴

平成25年4月1日より、我が国、アジア、そして世界をリードする炎症性腸疾患(IBD)の専門施設を目指して炎症性腸疾患先進治療センターが開設されました。その後、全国各地の若手医師から、当センターでIBDの診療並びに臨床研究を学びたいという声が複数寄せられ、内科研修・消化器内科一般研修を終えた医師を対象に、一流の専門医を育成する研修が可能です。研修の過程では、IBD診療に必要な経験・技術・知識だけでなく、指導医の知名度と国際的な立場を活用し、多施設共同研究や新薬の開発、国際的なオピニオンリーダーたちとの交流などに企画段階から携わることも可能です。熱意のある若手医師からの応募をお待ちしております!

対象

内科認定医(専門医)、消化器専門医取得者(もしくは同等の経験を有するもの)、かつ当プログラムに相応しいと認められるもの

病院見学受付窓口

病院見学受付窓口:
北里研究所病院 教育部事務室
教務部事務室 担当 小日向
kyomu-hk@insti.kitasato-u.ac.jp

雇用形態

嘱託医師

プログラム

1年目:
IBD患者を主とした外来業務(2枠、指導医の業務の見学ならびに補助)
IBD患者を主とした病棟業務(指導医とペアで受け持ちを行う)
大腸内視鏡(IBD専門枠、指導医の検査の見学ならびに補助)
小腸透視造影検査(炎症性腸疾患専門枠、指導医の検査の見学ならびに補助)
上部消化管内視鏡(一般枠)1枠
CTコロノグラフィー読影のトレーニング
上部消化管造影読影
臨床研究の補助(IBDセンターで実行中の約20件)
1-2件の臨床研究を各自のテーマとして上級医の指導の下で開始する
症例報告やコホート研究などの学会発表(最低1回)
研修医の指導と地方会などの学会発表指導(最低1回)
治験組入の補助
内科一般当直、内視鏡オンコールは卒業年次に応じたスタッフと同等の業務を行う

2年目:到達レベルに合わせて
外来・病棟を独立して担当
IBD専門内視鏡検査を上級医の指導下に状況に応じ独立して担当
上部消化管内視鏡1枠
研究責任者として臨床研究の立案と企画、遂行(最低2件)
国内外での学会発表(最低2件、うち1件は英語による国際学会発表)
国内外の専門医との交流
論文・総説の執筆(筆頭著者として;英文原著最低1件)
科研費の応募と獲得
内科一般当直、内視鏡オンコールは卒業年次に応じたスタッフと同等の業務を行う

その他:
IBD症例カンファレンス 1回/週
内科外科カンファレンス 1回/週
IBD抄読会1回/週
基礎研究ミーティング 1回/週
臨床研究ミーティング 不定期

参加学会

日本消化器関連学会週間(JDDW)、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、日本大腸肛門病学会、Asian Organization for Crohn's and Colitis(AOCC)、European Crohn’s and Colitis Organisation (ECCO)、Crohn’s and Colitis Foundation of America (CCFA)、など

IBD修練医の体験記①

 当センターは、2016年4月より「IBD臨床修錬医」というIBDにおける若手医師育成システムが作られ、この度私はその第1期生としてトレーニングを受けることになりました。
 これまで京都・福岡で一般消化器内科医として働き、そこでIBD患者と出会いその苦悩を知りました。
IBD患者数は近年急増しているとはいえ、その複雑な病態から診断・検査・治療が難しく、私のような若い医師にとってはなかなか学ぶ機会がありませんでした。そんな中、偶然にもIBD修錬医の募集を知り、運よく仲間に入れてもらうことができました。はじめは、これまでとは異なった生活環境や仕事内容に焦り不安を感じることも多くありました。IBDに関して、右も左もわからない私でしたが、毎日基本的なことから最新のIBD診療まで丁寧に教えてもらい、なによりIBD医師と共に過ごす時間(病棟・外来・検査・治療など)がとても長いため、その何気ない会話ひとつひとつから学ぶことが多く気軽に相談できるのは臨床修錬医の一番の魅力に思います。さらに、当院には若手医師が多く活気があり、プライベートな事まで気兼ねなく話せる仲間にも恵まれて今では公私ともに充実して過ごす事ができています。
 長い医師人生において、IBDが重要な病気のひとつになることは間違いありません。ここ北里研究所病院IBDセンターでは、IBDに専念できる環境を臨床修錬医のために整えてくれており、第一線で活躍するIBD医師から直接指導してもらえます。
私のようにIBDに興味をもつ医師、トレーニングを受けてみたい医師にとっては絶好の機会と思いますので、当センターはいつでも歓迎しています。
(文責 岡林慎二)

IBD修練医の体験記②

Cleveland Clinic 短期臨床留学
 2017年2月-3月の期間、アメリカのCleveland ClinicでIBD治療内視鏡の手技を学ぶ機会を頂きました。
Cleveland ClinicはU.S. News & World Reportで常に高い評価を得ている病院で、日々世界中から若い医師が短期から長期の研修に訪れています。
IBDの領域においても、近年世界に先駆けて、革新的なIBD治療内視鏡が行われており注目を集めています。

Dr. Shen(左)と私(右)
 今回、私はDr.Bo Shenの指導のもと、主にクローン病や術後パウチに合併した狭窄・瘻孔に対する内視鏡治療を学びました。狭窄に対しては、早期癌や胆管の治療で使う処置具を利用して狭窄解除することで、従来のバルーン拡張術よりも再狭窄を防げる可能性があります。瘻孔に対しては、特殊なクリップを使用することで完全閉鎖し、従来は全身麻酔で瘻孔手術が行われていた患者も、外来で10分程度の内視鏡治療で帰宅できている方もいました。

IBD修練医である私の立場は、日頃から常にIBD診療を学ぶ機会を与えてもらっていますが、今回の米国留学は私自身にとって初めての海外経験であり、将来の自分のキャリアプランを考える上で大いに意義深い留学となりました。
 最後に、本留学の機会を賜り多くのご協力を頂いた皆様に深謝致します。特に、この研修の第一号として推挙してくださり経済的サポート(有給)のもと留学させて下さった北里研究所病院関係各位、快く研修を引き受けて下さったクリーブランドクリニック関係各位の皆様には深謝致します。
(文責 岡林慎二)