長期にわたり寛解を維持している患者さんもおられます。
しかしクローン病は再燃する事の多い疾患です。
この病気の原因が解明されておらず、根治療法が開発されていない現在では、完治という言葉は使用せず、寛解という言葉を使うのが一般的です。
クローン病の活動期や再燃時の炎症の強さは、発祥から経過が長くなるにつれて低下する傾向があります。
長期になると多くの患者さんが経過良好となることが多いようです。
また診断後の生存率も一般的と変わりありません。
しかし、累積手術率(年々の手術率を総じた割合)は5年で約30%、10年で約70%と発症後増加する事から、狭窄(腸の内腔が狭くなること)や腸閉塞(腸の内容物の通過が障害されること)などの理由で手術が必要となる場合があるかもしれません。
病状に変化がなくてもある程度定期的な内視鏡検査は必要です。
症状や血液検査で経過を追うことが重要なのと同様に、内視鏡検査は病変の状態を的確に把握し、適切な治療内容を決定することができます。
したがって、寛解期でも発症してからの期間が短い時には、1~2年に1度程度の内視鏡検査をする意義があると考えています。
また、小腸病変の評価のためにはバリウムを使用した小腸造影が必要です。
そのような事はありません。
どのような方でも体力が低下していると風邪をひきやすくなります。
しかし患者さんの中にはステロイドや免疫調整薬を服用している方もおられます。
これらの薬剤は免疫反応を低下させることにより、病状を抑える反面、感染しやすくなる場合もあり、注意が必要です。
発熱などが長く続く場合は、風邪か、クローン病の悪化か、治療を要する感染症かについて検査する必要がありますので、主治医に相談してください。
また日常の手洗いやうがいなどの予防も大切です。
炎症に伴った腸粘膜の浮腫(炎症などにより液体成分が蓄積・貯留すること)による狭窄は、治療により改善がみられます。
一方、腸管が繊維化(膠原繊維よりなる結合組織が増加すること)して硬くなった狭窄を生じた場合にはもとの状態に戻すのは困難です。
しかし、回腸末端や大腸などの大腸内視鏡が届く範囲の病変には内視鏡を用いて拡張することができる場合もあります。
また直腸では肛門からの拡張も可能です。腹部膨満感や強い腹痛、嘔吐などの腸の狭窄による症状が強い場合には、狭窄部を切除したり切開をして拡張するような手術による治療が必要となります。
寛解期になってからも少なくとも2〜3年は寛解維持療法として栄養療法や薬物治療を継続することが必要です。
しかし寛解維持療法を中止すると再燃することも多く、現在のところ明確な治療終了の基準はありません。
自覚症状がないからといって自己判断で治療を中止するのではなく、血液検査結果や画像所見も参考にする必要がありますので、必ず主治医と相談して下さい。
残念ながら手術後の再発は高率にみられます。
患者さん個々によって異なりますが、手術後に再発した患者さんの中には再手術が必要となる方もおられます。
しかし、メサラジンや免疫調節薬、抗TNF抗体薬を併用する事で再発を抑制するとの報告もあり、手術後の治療も重要です。
どのくらいなら大丈夫というデータはありません。
個人差が大きく、一概には言えませんが、原則的にはアルコールは腸管の粘膜に障害性を示し、病状が悪化する可能性があります。
また、実際には飲み始めれば一杯のつもりが多くなってしまうことがあり得ると言われます。
したがって、現時点ではアルコールは控えた方がよいでしょうと言わざるを得ません。
コーヒーなどに含まれているカフェインそのものがクローン病に影響するわけではありません。
つまりこれらの飲み物で敏感になっている腸管を過度に刺激しなければ良いわけです。
そのためには腸管の炎症が強い時期でなければ、節度のある飲用で問題はありません。
潰瘍性大腸炎では喫煙者に症状が少ないとの疫学調査結果や、活動期の治療にニコチンが有効であったとの試験結果が報告されています。
一方、クローン病での喫煙は憎悪の要因とされていますので、タバコは控えた方が良いでしょう。
非ステロイド系解熱鎮痛剤(NSAIDs)の内服によりIBD(炎症性腸疾患)が悪化したという報告がありますが、その因果関係は現在のところ不明です。
風邪などにより短期間服用する場合は問題ないと思われますが、主治医と相談されると良いでしょう。
また、服用により調子が悪くなった時は薬を中止して早めに主治医に相談してください。
一般に仕事の内容に関しては、病気が理由で制限するような事はありません。
ただし、過労や過度のストレスで憎悪することもあるため、疲れを残さないように注意したほうがよいでしょう。
栄養療法のことや症状が悪化した時に入院が必要となることなど、周囲の理解も必要でしょう。
IBD(炎症性腸疾患)の治療には通常、抗生物質は使用しません。
したがって耐性菌の心配はありません。
ただし、痔瘻のある方やお腹の中に感染(膿瘍)がある方は抗生物質を使うことがあります。
この抗生物質は肺炎など他の感染症に使われるものと同じで、同様の耐性菌を発症することはあります。
大腸については大腸内視鏡、痔ろう癌については外科専門医への相談とMRIが重要です。
回腸付近の狭窄は大腸内視鏡の際に一緒に診ていただくのが良いでしょう。
小腸癌の頻度は少ないのですが担当の先生とも相談し、小腸内視鏡も考慮してください。
記載した薬価は10割負担の場合です。
実際には保険が適応され、またほとんどの患者さんでは難病の申請をしていただくことで公費による助成が受けられますので、実際の支払額は少なくなります。